安藤由香里 Droits des l'homme

シネマ

2015年1月14日
映画「サンバ」
http://samba.gaga.ne.jp/

原題:Samba
2014年、フランス、119分

フランスの非正規滞在者と仕事でバーンアウトした女性の映画。

その背景には現在のフランスが抱えている移民問題をはじめとする様々な問題が描かれている。妙に納得できたことは、サンバの叔父がサンバに、ジーンズや汚れたシューズを捨て、スーツを着て、雑誌を小脇に抱えろという場面。確かに、RER(パリ高速鉄道)や地下鉄で無賃乗車を最初に疑われるのは、ラフな服装のいかにも移民っぽい人。小奇麗な服装の人は無賃乗車等しないだろうという推定が働いている場面に遭遇したことが何度かある。善良そう?な日本人女性はあまり疑われない。

そして、非正規滞在者支援NPOには、1.法学生、2.へそピアスをしている人、3.85歳以上の人、ばかりでそれ以外は珍しいというサンバの発言もなるほど!と思った。

ただ、クエスチョンマークが頭をめぐる場面も多かった。例えば、収容所で出会ったコンゴ・ブラザビル(コンゴ民主主義共和国はコンゴ・キンシャサという)の男性が収容所から出られて、政治難民としての偽?認定証を簡単に入手したこと。そして、その男性が運河で死亡したのに、サンバが死亡したことになっていたこと等々。

また、些細なことだが、叔父からサンバに渡すように預かったマカロンをNPOで働く者が勝手に食べてしまうこともあり得ない。

この映画に出てきた用語に、国外退去義務L’obligation de quitter le territoire français (OQTF) http://vosdroits.service-public.fr/particuliers/F18362.xhtmlがある。

(日本語の参考文献:http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/legis/233/023303.pdf)

上には退去強制させる拘束力はないために、警察につかまらないように、ひっそりと暮らせばよいという助言を映画の中でもしている。

 

2014年12月13日
映画「おやすみなさいを言いたくて」
http://oyasumi-movie.jp/

原題:A Thousand Times Good Night
2013年、ノルウェー・アイルランド・スウェーデン合作、118分

紛争地等の写真家としての職業と家庭をどう両立させるかという女性の映画。

すごく違和感があった。それはなぜか?ロバート・キャパは好きだし、職業人としてのジャーナリストは尊敬する。しかし、銃撃戦の中に「行かないでー!」と泣き叫ぶ娘を残して、写真を撮りに行く姿に同意できなかった。自分が伝えなければいけないという使命の前に、恐怖で震える娘を車に残し、その娘の心を気遣う気持ちを一瞬でも持てなかったのか。その状況を考量して、それでもジャーナリストとしての使命が優先と思うまもなく本能のままに娘を置き去りにしてしまった。後にいくら誤っても一度壊れてしまった親子関係は戻らない。いつか娘が大人になった時に自分ではどうしようもない気持ちをわかって欲しいというのは、子どもにとっては残酷ではないだろうか。主人公の葛藤はわかるが、子どもから見たら、親に銃撃戦の最中に置き去りにされたという事実が残ってしまう。